PMOアワード2025「優秀賞」

株式会社システナ

ITマネジメント事業本部 PMOサービス事業部

PMO人材育成体系の変革によるサービス品質と組織力の強化

PMOアワード2025授賞式

 (写真左)ITマネジメント事業本部 PMOサービス事業部 事業部長 藤川 恵奈 様 /(写真右)一般社団法人日本PMO協会 会長 理事

応募内容の概要

株式会社システナ ITマネジメント事業本部 PMOサービス事業部(以下、同社)は、主にお客様プロジェクトの支援としてPMOサービスを提供している。

昨今の市場動向を踏まえ、より高次の専門性を持つPMO人材の育成を目的に、事業部内に育成担当チームを設置。ビジネスアナリシスやプロダクトマネジメントといった上位レイヤーへの対応力を高めるための戦略的基盤の構築を進めている。

この取り組みは、PMO人材の強化とともに、将来的にプロダクトマネジャーやビジネスアナリストクラスの人材を輩出し、PMOサービス全体の高度化を図るものであり、その基礎づくりとして実施されたのが今回の「育成体系の変革」である。

従来はスキルごとの研修(社外研修やeラーニング)と現場OJTを組み合わせていたが、個人知への依存が強く、属人化やナレッジの分断といった課題が存在した。

これを解消するため、個人知主体の育成から、組織知の向上を軸とした体系的な育成へと方針転換を図った結果、キャリアパスの明確化や社員の自律的成長が促進され、組織全体のサービス品質と顧客満足度の向上につながった。

 

PMOアワード2025

(画像提供)株式会社システナ ITマネジメント事業本部 PMOサービス事業部

PMOの活動概要

本取り組みでは、まず実績・経験などの個人知の言語化を実施した。業務で成果を上げている社内人材をペルソナ候補として選出し、個人知の言語化を徹底。そこから必要なスキルを抽出し、レベルごとに整理して独自のスキルマップを作成した。

次に、人材指標および育成体系の策定を行い、必要な人材像の設定と各要件の明確化を実施。人材像別の育成目標(〜ができる)を策定し、これらを総合的にまとめて育成体系を整備し、キャリアパスを明確化した。

さらに、階層別研修の開発・実施においては、デジタルスキル標準などの標準類や社外知見も取り入れ、研修を内製で開発。

目的意識を持った受講者募集を行い、座学だけでなく現場実務との連動や受講者間の横連携を取り入れることで、組織力と実践力を身につける研修を実施した。

 

PMO活動の特徴

同社の研修は、一般的な知識詰込み型の座学ではなく、[問いかけ] → [インプット] → [実践] → [アウトプット] のサイクルを重視した実践型研修である。

参加者の立場やスキルレベルを合わせ、研修内にディスカッションの時間を設けることで、同じ課題や悩みを持つ社員同士が情報交換・共有できるコミュニティを確立。これにより、研修後も横連携が活発となり、個人知を組織知に変える取り組みとなった。

また、研修を社内で完結させることで、PMOという多忙な職務の中でも柔軟に参加できるよう配慮している。

一方で、内製研修の継続による閉鎖化を防ぐため、研修担当が外部団体との関係構築や連携を進め、プロジェクトマネジメントやPMO関連資格などを活用しながら、常に最新情報を社内に取り入れて研修が自己進化し続ける仕組みを構築している。

さらに、研修内容は社外の標準類(デジタルスキル標準など)に合わせて開発されており、受講者が社外でも共通言語を使えるように設計されている。

 

PMOアワード2025

ITマネジメント事業本部 PMOサービス事業部の皆様

PMO活動の価値・成果

育成体系の変革により、明確な目的を持った施策立案・実施が可能となり、組織全体に次のような変化が現れた。

まず、PM/PMO要員やその先のレイヤーまでの要件を言語化・体系化したことで、ガイドとしてのキャリアパスが明確になり、社員の成長意欲や目的意識が向上。受動的な研修から、身につくスキルが明確で実践を伴う研修に変わったことで、能動的な学びが促進された。リーダー職などのマネジメント層への要件も明確化され、挑戦する社員が増加し、組織力の向上に直結している。

さらに、ナレッジ共有や人材成長によって組織力とサービスの質が向上し、属人化の解消による同社サービスの持続性・柔軟性・安定性の向上も実現した。

また、人材成長によってハイレイヤー領域でのサービス提供が可能となり、これらのサービス提供によって、顧客提供価値の向上に直結している。

 

参考:定量的成果(2024/10~2025/03の6か月間)

  • PM・PMO関連資格取得率:92.0%(前期比 +11.4%)
    ※知識取得の指標であるとともに、従業員の知識と技術習得の意欲向上の指標でもある。
  • 研修後の評価向上率:リーダー候補層 76.2%/リーダー層 56.7%
    ※知識と技術の習得指標であるとともに、サービスの品質向上の指標でもある。
  • レイヤーアップ件数:26件(新規案件の15.0%)
    ※お客様からのより高い品質のサービスニーズに対応できている指標である。

これらは、PMO自らがスキルと知識の向上を実感し、クライアントからより高いレベルの業務を依頼されるようになった結果であり、育成施策の効果を裏付けている。

 

審査委員の評価ポイント(ベストプラクティス)

論理的かつ戦略的なPMO人材育成体系改革の価値

同社は、拡大するPMOサービスの品質を支える基盤として、従来の属人的な育成を組織知へと転換する仕組みを構築した。これは、PMO人材の品質を持続的に高めるための、極めて戦略的な取り組みである。

同社は対外的にPMOサービスを提供しているが、この教育・育成体系は、社内PMOの人材育成を行う企業にとっても有効であり、幅広い応用可能性を持つ。

また、研修の内製化、参加者ネットワークの形成、標準類に基づいたスキル定義といった施策は、実効性と発展性を兼ね備えており、PMO業界全体に示唆を与えるケースとなっている。

 


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