PMOアワード2025「特別賞」

広島県公立大学法人 叡啓大学

大学PMOによる産学官連携の実践的プロジェクト推進モデルの構築

PMOアワード2025授賞式

(写真左)産学官連携・研究推進センター 教授 定金 基 様 /(写真右)一般社団法人日本PMO協会 会長 理事

応募内容の概要

叡啓大学は、地域企業と共に新規事業を創出し、学生の実践的な学びを促進する「共創プロジェクト」プログラムを2024年10月から実施している。

本プログラムは6ヶ月間で構成され、前半3ヶ月を企業の価値探索フェーズ、後半3ヶ月を学生実証フェーズとしている。

現在までに広島県内の10社と連携し、大学は「発注者PMO」と「受注者PMO」の双方の立場から、企業と学生をファシリテートした。前半フェーズでは、企業の経営戦略や解決したい社会課題に基づき、大学が客観的立場から優先施策の選定と意思決定支援を行った。後半フェーズでは、学生チームが選定施策の実証実験を担い、大学PMOが進捗可視化・障害解消・意思決定の支援を実施した。

この一連のプロセスを通じて、大学は企業の戦略執行を支えると同時に、学生にとっては実社会でのプロジェクト実践を経験する「二重価値創出型PMOモデル」を実現した。

また、同学が独自に開発した「叡啓プロジェクトフレームワーク」を活用し、学生と企業が共通言語でプロジェクトを推進。大学PMOが全体を一貫してファシリテートすることで、組織間連携・学び・実践をつなぐ新しいPMO像を体現した。

 

PMO活動の特徴

叡啓大学の共創プロジェクトにおけるPMOは、複数プロジェクトを横断的に支援し、良い実践を他プロジェクトに循環させるナレッジマネジメント型のPMOである。

企業向けに独自の「叡啓プロジェクトフレームワーク」についての解説を行い、学生と企業が共通のプロセス理解を持つことで、推進速度を大幅に向上させた。

大学PMO全体は3名体制で、実務家教員や民間や行政からの出向者を含む構成。各プロジェクトにPMOを2名配置し、統括PMOが横断支援を行う体制を整備した。

また、プロジェクトの推進のために会議設計や意思決定支援に重点を置き、アジェンダ設計、可視化ツールの活用、対話促進手法などを体系化。学生がシェアドリーダーシップの考え方に基づき、自ら会議のアジェンダを提出・推進を行い、ローテーションで会議のファシリテーターを担うなどで、自律的な学びと協働が促進された。

叡啓大学という非営利・中立的な立場が、企業・学生・地域をつなぐ信頼基盤となり、フィールドワークや社会における実証実験を円滑に推進する要因となった。

 

PMOアワード2025

(画像提供)広島県公立大学法人 叡啓大学

PMO活動の価値・成果

 

本PMO活動により、企業と学生の対話の質が格段に向上し、プロジェクトの実行力が大きく高まった。

PMOが設計した会議構造と意思決定支援により、企業側では「重要だが後回し」にされていたテーマにも着手可能となり、ポートフォリオ全体の整理・優先順位づけが実現。

企業では、社内常識に依存した計画立案から脱却し、PMO支援によるフィールドワークと短期フィードバックサイクルを導入。学生は現場でのステークホルダー・顧客・ユーザーとの対話を通じ、仮説検証型のプロジェクト推進力をさらに磨く機会になった。

実際に、学生チームの提案によるプロトタイプが企業内で活用され、イベント企画や製品試験導入など具体的な成果が生まれている。企業側からは「このプロジェクトの進め方を自社内でも展開したい」という声も寄せられた。

教育的成果としても、学生が「授業で学修した内容や共創プロジェクトで活用した内容をもっと活用したい」と述べるなど、PMO活動が学びと社会実践の双方に波及効果をもたらしている。

 

PMOアワード2025

共創プロジェクトの皆様

審査委員の評価ポイント(ベストプラクティス)

大学PMOによる産学官連携の実践的プロジェクト推進とファシリテーションの価値

叡啓大学のPMO活動は、大学が企業の戦略執行支援と学生の教育支援を一体化し、産学官をつなぐ中立的PMOとして機能した先進的なモデルである。

PMOが意思決定支援・対話設計・合意形成など本来のファシリテーション機能を中核に据え、複数企業と学生チームを横断的に支援した点は特筆に値する。会議設計や可視化の工夫、助言のあり方まで体系化し、プロジェクトのプロセス品質を大きく向上させた。

また、講義で学んだプロジェクトマネジメント理論を、地域企業の実課題に基づくプロジェクトに活用し、さらにPBL(Project-Based Learning)として捉えることで、理論と実践の往復を通じて学生と企業双方に成果を生み出した。これらの仕組みを設計・推進したPMOの存在が、PBLの実効性と地域イノベーションを強力にドライブした。

本取り組みは、大学PMOが教育と社会の双方に価値をもたらす新たな役割を示す優れたモデルケースである。

 

●参考:メディア掲載実績

2025年5月14日付『日本経済新聞(全国版)』にて「知の挑戦 社会を変える人づくり」として紹介。

また、広島県内のテレビ各局(HOME広島ニュース・TSS広島ニュース)でも特集が放映された。

 


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